NHK総合の総合で放送された、「1991年 雲仙・普賢岳」避難勧告を継続せよ を観た。
雲仙の普賢岳が噴火し、土石流、大火砕流で多くの人命を町を飲み込んだ日から、もう20年が経ちます。
つい、この間の様です。
当時の記録映像と関係者の現在のインタビュー、そしてドラマを加えて、巧妙に編集した非常に見ごたえのあるドラマでした。
折しも、この災害から20年後に東日本大震災が発生し、現在は原発を含めてその対応に追われている事を振り返ると、複雑な気持ちになる。
まずは、ドラマとしてですが、観ていて、どこからが記録映像でどこからがフィクションなのか判断に迷うほどに巧妙な編集がなされている。
この映像は、元になる作品として火山学者の夫婦「カティアとモーリス」からの映像がかなり取り入れられているが、見方を変えると大災害が発生した中で、そこに関わる組織とその役割、そこで葛藤する人の姿はどこの視点から切っても一つのドラマになりえる程の深い内容を持っているとも言える。
今回は、島原市の市長として、災害本部の長であり住民に苦難を強いる避難指示、勧告を出した、鐘ヶ江島原市長と九州大学地震・火山観測研究所の太田所長にスポットをあてて描かれている。
鐘ヶ江元市長、太田所長は元より、当時の交通巡査、消防団、市役所や研究所の関係者などからの取材や再現映像は、リアル感と共に緊迫した映像を見せてくれる。
火山の爆発や地震など、先の予測しにくい事象に対して、災害の被害を予防、人命尊重の視点で生活を犠牲にしてでも、避難所に非難を強いる市長の苦悩と、市長の判断の元である太田所長とのやりとりなど、見ながら考えさせる点が多かった。
此の様なドラマだと、どうしても今の東日本で起こっている住民非難と人命尊重のバランスの難しさを考えさせられるが、少なくとも現場で日々住民を見て、支えている現場の首長と地図と写真と映像でいい加減な判断をしている現在の菅直人政府との温度差を感じざずにはいられなかった。
世界で発生している地震の20%は日本で発生していると言われ、3つの大陸プレートの上にのり、日本の北から南までまんべんなく火山がある日本において、災害は身近であり都度人々を襲いそこから立ち上がってきた歴史がある。
その点では、日本人は少なくとも事災害においては、世界でももっとも先進的な知識とノウハウがあって然るべきだと思うが、住民が歴史の知恵、生活の知恵として体得しているが、少なくとも政府においては、まったく学習効果が無いとしか言えない。
このドラマを見て、ドラマとしてのデキが良いだけに、かつ生活者として参考にできる点が多いだけに、これらの災害の記録、ドラマを教材として徹底的に学ばせたいという衝動に駆られる。
近日、「カティアとモーリス」の再放送があるようだが、これも楽しみです。
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