それは、絵を描く事も同時に止めたから。
著述業や作家を目指していた自分の人生のけじめをつけた時です。
その後、独学でコンピュータやビジネスの勉強を始めて今に至っています。
一昨年位から、機材の進化に誘われるように、再びカメラを持ちました。
でも、最初に購入したオリンパスのE-300はほとんど使用しませんでした。
やっと、少し撮影する気分になったのは、09年のはじめ・・・
オリンパスのE-3を購入しました。
いたずらにカメラを購入するばかりで、気持ちを込めて撮影したいという被写体が見つかってません。
スナップに興味があるかと言われれば、カメラを持って街へ出ると撮影する。
写真はスナップになってしまう・・・というだけで取り立ててスナップ写真に対する興味があるわけではありません。

愛することができる被写体。
結果として撮影したくなる被写体。
そんな対象を、悶々としながら探しているというところです。
20代になったばかりの時、遊びで写真を撮影し、現像をし、引き伸ばしをしていた私の写真観を見事に一瞬で打ち砕いてくれた人。
故木原和人さんです。
木原さんのNCブックスから出版された「接写のフルコース」を読みました。
その美しい写真と柔軟性のある自然への接し方。
新しい撮影スタイルとそこから生み出される美しい世界に一瞬にして引き込まれました。
正直、木原さんの描く美しい花の世界、マクロの世界は初めて見る世界でした。
マクロ撮影、接写撮影は言葉も知っているし、写真も見たことがある。
今までの写真は単なる拡大撮影で芸術性から遠い世界を感じていました。
しかし、木原和人さんの撮影する世界は美しさ、芸術性しか感じない世界でした。
早速ミノルタのマクロレンズ35mmを月賦で買い求めて(当時はミノルタのXDを使っていた)、
タムロンの90mmマクロレンズを使い猿真似ばかりをしていました。マクロレンズは、私に新しい被写体と新鮮な世界を提供してくれました。
どのくらい夢中になっていたかというと、朝は4時過ぎに起きて、着替えて自分のフィールド(4kmくらい)を2時間くらい歩いて回ります。
薄暗いので常にブレとの戦いですから、一脚あるいは三脚は常に取り付けていました。
夕方、3時とか4時の斜光線の時間帯にまたフィールドを回ります。
それ以外の時間はアルバイトと絵を描いている。
そんな暮らしを数年ほどしていました。
(ま、下手くそでしたけど)

と言う一心で、3回ほどお仕掛けに行きました。
恐らく、木原さんが亡くなる2年ほど前だと思います。
いろいろ自作もしました。
ストロボを改造して、接写の時にレンズに蹴られないようにしたり。
開放測光&自動絞りのできるベローズを探したり、
3倍、5倍の撮影ができるような機材に改造したり、
とにかく、新しい世界を撮影してみたい。
肉眼で見えない世界を可視化したい。
そんな思いでやっていたような気がします。
木原さんからスタートして当時の自然写真家の方々の写真展はほとんど観て歩き、写真家の方とお話をしました。
お会いしたことがあるのは、木原和人さん、栗林慧さん、海野和男さん、吉野信さん、今森光彦さん、伊沢正名さん、竹田津実さん、埴沙萠さん、佐々木崑さん、田中光常さんなどなど・・・
撮影している人に会い、撮影や作品のヒントを欲しいなとワサワサしていた時かも知れません。
今にしてみれば良い思い出です。
でも、今は自然写真にしてもマクロ写真にしてもそれほど心を沸き立たせてはくれません。
何か、もう少し違うものを求めているのだと思います。
写真でしかできない世界観があるように感じます。
その場にいて、一瞬を切り取るという写真としての本質を大切にしながらも、何か撮影者の想い、撮影される対象の瞬間を演出できるのではないか・・・と、思うこの頃です。
まだ、きっかけしか見えていない気がします。
まだまだ時間が掛かりそうです。
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